プラズマとは?――気体から電子とイオンが生まれると何が変わるのか
半導体プロセスで使う低温プラズマを、電離・励起・ラジカル・シース・非平衡性から解説する。
まず結論
プラズマは、気体の一部が電離し、電子とイオンを含む状態です。ただし半導体装置のプラズマを「非常に熱い気体」と理解すると本質を外します。
低圧プラズマでは電子が高いエネルギーを持つ一方、気体全体の温度は比較的低く保てる非熱平衡状態を利用できます。
電子が重要な理由
質量の小さい電子は電界からエネルギーを受け取り、気体分子へ衝突します。
衝突によって、
- 電離:分子や原子から電子を引き離し、イオンと電子を作る
- 励起:電子状態を高いエネルギー準位へ移す
- 解離:分子の結合を切り、原子やラジカルへ分ける
などが起こり、通常の熱だけでは作りにくい活性種を生成できます。
ラジカル
分子が解離すると、反応性の高い中性種であるラジカルが生じます。エッチングやPECVDでは、ラジカルが表面へ吸着して起こす化学反応が重要です。
プラズマプロセスは、イオンの衝突だけでは説明できません。ラジカルによる化学反応、電子による電離・解離、光の放出などが同時に起こります。
準中性とシース
プラズマの内部(バルク)では、正と負の電荷密度がおおむね釣り合っています。これを準中性と呼びます。しかし、壁や基板の近くでは電子とイオンの動きやすさの差から、シースと呼ばれる電位差のある領域が形成されます。
電子は軽く素早く壁へ到達するため、壁や基板はプラズマに対して負の電位になりやすくなります。その電位差によって正イオンが基板方向へ加速されます。シースは、イオンの入射エネルギーと方向性を決める重要な領域です。
プラズマ密度と電子温度
プラズマ密度は電子やイオンなどの荷電粒子数を表す指標です。電子温度は、電子が持つエネルギー分布を温度の形で表した代表的指標です。電子温度が高いことは、気体全体が同じ温度まで熱くなっているという意味ではありません。
RF電力を増やしても、プラズマ密度と電子温度が単純に同じ割合で増えるわけではありません。圧力、ガス組成、装置形状、周波数、壁面への損失なども影響します。
なぜ半導体製造で便利なのか
プラズマを使うと、比較的低い基板温度でも反応性の高い活性種を作り、イオンを電界で一定方向へ加速できます。そのため、エッチング、成膜、洗浄、表面処理などに利用されます。
今後扱うテーマ
- シースとは?
- ICPとは?