ICとは?――トランジスタと配線を一つのチップへ集積する
ICと半導体チップの関係、集積回路の構成、アナログ・デジタル・混載IC、製造とパッケージを説明する。
この記事の結論
- ICはトランジスタ、配線などを一つの半導体基板上へ集積した回路
- チップ、ダイ、パッケージ、完成したICは指す範囲が異なる
- デジタル、アナログ、混載など目的に応じて回路と製造技術が変わる
まず結論
ICはIntegrated Circuit、つまり集積回路です。多数のトランジスタや配線、必要に応じて抵抗・コンデンサなどを、一つの半導体基板上へまとめて作ります。
単体部品を基板上で配線するより、小型化、高速化、低消費電力化、量産時のコスト低減を実現しやすくなります。
IC、チップ、ダイ、パッケージの違い
似た言葉ですが、指す範囲が異なります。
| 言葉 | 主に指すもの |
|---|---|
| IC | 一つの基板上へ集積された電子回路 |
| Die(ダイ) | ウェハから切り分ける一つの回路部分 |
| Chip | 文脈によりDieまたはパッケージ済み部品 |
| Package | Dieを接続・保護し、外部端子を持たせた構造 |
日常的にはパッケージ済みのICを「半導体チップ」と呼ぶこともあり、厳密な使い分けは文脈で変わります。
ICの中には何があるか
デジタルICでは、MOSFETを組み合わせた論理ゲート、フリップフロップ、メモリセルなどが作られます。これらを金属配線で接続し、演算、制御、記憶を実現します。
アナログICでは、トランジスタに加えて抵抗やコンデンサを使い、増幅、電源制御、信号変換などを行います。同じチップへデジタル回路とアナログ回路を載せるMixed-Signal ICもあります。
ICの主な分類
- Logic:計算や制御を行う
- Memory:情報を記憶する
- Analog:連続的な電圧・電流を扱う
- Power Management:電圧や電流を変換・制御する
- Sensor IC:物理量を検出し、信号処理する
- RF IC:高周波信号を増幅、変換、生成する
一つのSoCへCPU、GPU、メモリインターフェース、通信、画像処理など複数機能を統合する場合もあります。
ICはどう作るのか
前工程ではウェハ上に成膜、フォトリソグラフィ、エッチング、イオン注入、CMP、洗浄、検査を繰り返し、素子と多層配線を作ります。
その後、ウェハテスト、ダイシング、接続、封止、最終試験を経て、基板へ実装できる製品になります。先端パッケージでは複数のDieを組み合わせ、一つのシステムとして扱うこともあります。
集積度が上がる意味
トランジスタを小さくして数を増やすと、多くの機能を小さな面積へ載せられます。一方で、微細化に伴って漏れ電流、配線遅延、電力密度、発熱、製造ばらつき、設計コストが課題になります。
現在の性能向上は微細化だけでなく、回路設計、材料、3D構造、Chiplet、パッケージ、ソフトウェアまで含めて進められています。